マカロニ工房はイラストやショートストーリーを主とした創作・二次創作サイトです。
二次創作の取り扱い作品の企業・団体様と当サイトは一切関係ありません。

エロ画像

機動戦士ガンダム オルレアンの聖女 8 1234567891011

白い部屋にソファー――。
クッションを抱えたクェスと一緒にTVを見ている…。

でも僕には、TVよりもクェスを見ている方が楽しい。身を乗り出したり、ビクリとのけぞったり…。
何年経ってもクェスはクェスだ。この子供っぽい表情、仕草…。
そのくせ、真剣な顔になると妙に大人っぽい……ダメだなぁ、どうもダメだ…僕って…。

フッと照明が落ちた。
キャッと小さい悲鳴を上げたクェスが可愛くて、クスクスと笑ってしまった。

「ちょ…何よ、ちょっとビックリしただけじゃない!ハサウェイ!何か明かり持ってきてよ!」
照れてるのかな?暗闇で顔が分からない。

大丈夫だよ、すぐつくさ。
多分近くの工場の消費電力が増えたんだろうね…仕方ないことさ。
発電量が再調整されるまでのんびり待とう。

「そういうことじゃなくてぇ…変に理屈っぽいとこ、良くないよぉ」

あれ?何かちょっと涙声…。
あ…そうか、僕らは深夜ホラー映画を見てたんだ。

かすかに震えるクェスの手が、そっと僕の手に触れる。
僕は優しくその手を握り返した…。

大丈夫、怖がらなくて良いよ。ゾンビが来たって何が来たって、キミだけは僕が守るから――。

停電はいつまでたっても直らなくて…僕はジェガンのコクピットにいた…。

身体のあちこちが痛い…応急処置用のテープが足りて良かった…とりあえず窒息死は免れる……。

ジェガン…動かないな…クェス!?なんで泣いてるの?泣かないで…僕はここにいるから……。
泣かないでクェス…泣いたら、かわいい顔が台無しだよ。

…出血が酷いのかな?ちょっと意識が遠くなってくる…真っ暗だ…。

でも…ああ…温かい……。クェス…これは…キミの心の光なのか?

「ハサウェイ!!」

温かい…光…。
来てくれたのか…ありがとうクェス……また泣いて…。
ゴメンね。
キミを助けたかったのに…泣かせてばかりで…。

帰ったら、アムロにお礼言わないとなぁ…。

差し伸べられたクェスの手を、弱々しく掴んだ。
助けるはずが助けられちゃったね…。

今回は、アムロがキミを助けてくれた…でも…クェス…これからは、僕がキミを守るから…・・・。

キミだけは――僕が守るから……。

 

視界が白く染まり、ハサウェイは目を細めた。光量に合わせて瞳孔が調整されるまでの生理的反応だ。

白い天井、白い壁…飾り気の無い医務室のベットにハサウェイは寝かされていた。

「良かった…目が覚めたんですね…少尉」
透き通った優しい声。プラチナゴールドの髪と清楚な顔立ち…管制を勤めるナウシカアだ。
心なしか目が赤い。頬もちょっと赤みを帯びている。

「あの…手…」
ナウシカアの言葉に視線をその手に向ける。
「あ、ゴ、ゴメン!」
慌てて彼女の手を離す。バツの悪そうなハサウェイを察したか、ナウシカアは何か話題をと考えをめぐらす。

自分を気遣うナウシカアが、少し可哀想に見えてしまった。
「僕は…どれくらい眠ってた?」
「2時間半くらいです…と…2時間40分くらい…ですか」

ナウシカアらしい答えだ。
「ナウシカア…事態の把握が僕にはさっぱりだ、教えてもらえないかな?」

促され、ナウシカアは報告をメモしたノートの写しを手に取り、まだ正式なものではないという確認の上で伝えた。
重傷者こそ出たが、ジェガン隊に死者は出ていない事。
サイコミュ兵器使用による精神的負荷のためにハサウェイは昏倒した事。
ビックスとウェッジが、オデュッセウスを回収し、彼を医務室へと運んだ事…。

「助けたヤツラに、助けられちゃったな」
力無くハサウェイは微笑んだ。
分かっているのだ。
ナウシカアが敢えて伝えたがらない事があることを…。

しばらく白い部屋に沈黙が続いた。時折風に揺れるカーテンが、何故か物悲しく見える。

「ナウシカア…外壁で防御にあたった兵達は…?」
沈黙を破ったのはハサウェイだった。自分の迂闊さが招いた結果だ。当然それを知る義務がある。

「貴方のせいじゃないからっ!!!貴方は…全力でやったわ!」
ハサウェイの考えていることは、ナウシカアにはよく分かった。強過ぎる責任感は、時に自らを苦しめる鎖となる。

目を強く閉じた。一呼吸置き、ナウシカアは途切れそうな声で伝えた…。
「砲座の要員は5名を除いて…全員……」

ギュッっとシーツを強く握り締める。食いしばった歯がギリリと音を立てた。

「ハサウェイ…少尉……私、これで退室しますね…
枕の横に掛かってるブザー、御用があったら鳴らして下さい…。看護員、来ますから」
察したナウシカアが席を立つ。

ありがとう。というハサウェイの声を肩越しに、そっと会釈するとパタンとドアを閉じた。

一人になったハサウェイ――。涙が、一筋、二筋と流れた……。

機動戦士ガンダム オルレアンの聖女 8 1234567891011